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スタッフblog「季の風」

漢字ドリルの配慮と、『うんこ漢字ドリル』の強みについて

2017-05-08
――のひらがなを、漢字に直しましょう。
 ⑴ 雨がふらないか心ぱいだ。……答えは「」。
 ⑵ 春の気はいを感じる。……………答えは「」。
 ⑶ 二人で物を運ぶ。…………………答えは「」。
 
漢字ドリルには、上記のように「文の中に出てくる漢字を読み書きさせる設問」があります。
この出題文。何気ないように見えますが、実は児童が戸惑いなく取り組めるような配慮をしています。
 
例えば、児童が行動の中心人物になっている文かどうかの配慮。
「荷(に)」を答えさせる「荷物」の出題文が「荷物をとどける。」だとしたら、届ける人(=主語)は宅配業者であり、児童にとって身近な内容にはなりません。
荷物がとどく。」としても、未成年の児童が荷物を注文する状況が現実的にあるだろうか……と、出題文が妥当かどうか考えてしまいます。
荷物を運ぶ。」ならば児童も体験したことがあるだろう、と配慮して出題します。
 
また、前向きな、もしくは深刻ではない内容になっている文かどうかの配慮もしています。
「配(はい)」を答えさせるときの「心配」という言葉は、後ろ向きな状況で使われることが多いです。
テストでよい点が取れるか心配だ。」「帰りがおそいのを心配する。」……このような文では、児童は前向きな気持ちで漢字を覚えることができません。
そのために、「雨の心配をする。」のような深刻ではない内容にするか、「気配」などの別な言葉で出題するように配慮しています。
 
ここまで、漢字ドリル出題文の配慮について書きました。
この他にも配慮の観点はあるのですが、1つ1つに気をつけながら作成していることを知っていただけるとうれしいです。
 
***
 
そして、ここからが本題です……。
漢字ドリルは配慮を積み重ねて出題文を作成しますが、配慮することで悩みも出てきます。
それは、「配慮しきれない言葉は、問題としてなかなか出題できない」ということ。
 
「配」には、「心配」「気配」「配達」「配送」「手配」など、さまざまな言葉があります。
ですが、漢字ドリルで文として登場するのは、「心配」「気配」「配達」など限られた言葉のみです。
特に「手配」は日常でよく見る言葉であるのに、出題文として登場することはほとんどないです。
おそらく「手配」が使われないのは、「手配」を使って児童が行動の中心となる文が作れないからだろうと考えます。
 
「荷」でも、「荷物」「荷づくり」「荷台」などは文として出題されますが、「重荷」は見かけません。
「重荷」はネガティブな意味をもつ言葉なので、それを振り払えるだけの文が作れないからだろうと想像します。
 
配慮しきれずに出題できないような言葉を、児童に身につけてもらうにはどうすればいいのだろう……。
そう考えていたところ、文響社さまより、『うんこ漢字ドリル』のお仕事のご依頼をいただきました。
 
弊社では「漢字学習アドバイザー」として、『うんこ漢字ドリル』での読み書きの出題文などが漢字学習として適しているかどうかを確認しました。
出題文の内容自体はとてもユニークなのですが、出題となる言葉の使い方は真っ当であり、漢字を覚えながら言葉を身につけることができると思います。
 
何より、通常の漢字ドリルでは出しづらい言葉を出せるところがすごい!
うんこを二百こ手配してください。」という文は、現実感がなさすぎるので、児童が行動の中心かどうかなんていう観点を吹き飛ばします。
かれは、うんこ委員に選ばれたことを重荷に感じている。」という文は、「重荷」というネガティブな言葉を扱っているのに、児童がつらい気持ちにならないだろうかなんていう不安を抱かせません。
「うんこ」という言葉があることで、児童にとって身近であるという気持ちが高くなるのでしょうね。
 
もちろん、『うんこ漢字ドリル』は楽しみながら漢字を学習したいという児童のためには最適の本だと思います。
さらには、通常の漢字ドリルで学びつつ、もっと使える言葉を広げたい、語彙を充実させたいと考えている児童にとっても、通常の漢字ドリルでは出題できないような言葉も収録されている『うんこ漢字ドリル』はオススメできるなあと感じています。
児童が漢字学習からさまざまな言葉を身につけ、実生活で使えるようになるといいですね。
寒海
株式会社あいげん社
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