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第2回 いろは和歌【い】「いま来むと」『古今和歌集』より
2016-09-08

 これから、出だしが「いろはにほへと……」の順になるように、和歌を一首ずつ紹介していきたいと思います。

 いろは和歌シリーズ、まずは「い」で始まる和歌からです。

 

 幼いころ、百人一首のかるた遊びはお正月の楽しみの一つでした。

 札を取って遊ぶのはもちろん、札にかかれた絵を見ているのも好きでした。華やかな女性などの絵よりも、とぼけたような顔をしたお坊さんの絵のほうが気になって、みんなおんなじ顔してるなあ、などと思っていた記憶があります。

 今回紹介するのは、そのお坊さんの中の一人が詠んだ和歌です。




素性法師 

  いま来むといひしばかりに長月の有明けの月を待ちいでつるかな

(『新編日本古典文学全集11 古今和歌集』小学館)



 

 『古今和歌集』に収められ、『小倉百人一首』にもえらばれています。

 作者の素性法師は、平安時代の歌人であり僧侶。尼僧ではなく男性です。この歌は、男性が女性の立場から詠んだもの。女性の視点で男性が書く、という形でいうと、紀貫之の『土佐日記』もそうですね。かの有名な冒頭の文を、学生のときに読んだという人も多いのではないでしょうか。


 改めて、和歌を見てみましょう。「月」のつく言葉が二回出てきます。

 一つは「長月」。陰暦の九月です。現代でいうと、晩秋のころでしょうか。「長月」という言葉には、秋の長い夜の意味もかかっていると考えられます。

 もう一つは「有明の月」。これは夜が明けかけても空に残っている月のことをいいます。

 

すぐに行こうとあなたがおっしゃったばかりに、九月の秋の長い夜が明けるまで待ち続けて、有明けの月が出るころになってしまったことですよ。

 

 歌の内容を現代の言葉で表してみると、このようになるでしょうか。一晩だけでなく、何か月も待ったと読む説もあります。

 秋の夜長といいますが、来ると言った恋人をひたすら待ち続けた女にとっては、よりいっそう長い夜であったことでしょう。せつなさやさびしさとともに、こんなにも待ってしまった自分をむなしくわらうような雰囲気も感じられます。

福井

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